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  3. B 食の安全 - 6. 農薬の管理

B 食の安全

6. 農薬の管理

6.1 農薬の選択・計画

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.1.1 必須 農薬使用の責任者がいる ① 農薬の選択と使用計画の立案、使用の指示を行う責任者が特定されている。(管理点1.2.1参照)
② 農薬使用の責任者は、農薬使用に関して、農薬管理指導士、普及指導員、農協の防除指導員、緑の安全管理士または都道府県がこれらと同等と認める資格を持っている。
あるいは、これらの資格者や病害虫防除所、普及指導センターの助言や講習を受けている。
6.1.2 重要 農薬に関する最新情報を収集している 農薬使用の責任者は、防除作業の安全・省力化を図るために農薬の最新情報を入手する等農薬の知識を高める努力をしている。
6.1.3 必須 農薬使用を必要最低限にしている 農薬使用の責任者は、総合的病害虫・雑草管理(IPM: Integrated PestManagement)に取り組む等、耕種的防除・生物的防除・物理的防除を適切に組み合わせることにより病害虫の発生を抑え、抑えきれない場合は化学的防除を適切に使用している。

例えば下記の取り組みを行っている。
① 病害虫を事前に予防するための工夫を行っている。
② 病害虫の発生状況を的確に把握し、防除方法やタイミングを決定するための情報を収集している。
③ 病害虫の発生状況に基づいて必要最低限の農薬散布を行っている。
6.1.4 必須 農薬使用計画を立てている 農薬使用の責任者は下記を満たした農薬使用計画を立てている。
① 散布する予定の農薬の商品名、有効成分、適用作物、適用病害虫を書いた使用農薬の一覧表がある。
地方公共団体や農協等が発行した最新の防除暦でもよい。
② 使用する農薬の使用回数、総使用回数、使用時期(収穫前日数等)の基準を満たす計画となっている。
6.1.5 重要 耐性・抵抗性の発生を防いでいる 過去に使用した農薬を把握し、耐性が生じないような防除計画を立てている。
ラベルに指示がある場合はそれに従っている。
6.1.6 重要 農薬の土壌残留を考慮している 土壌処理農薬について、今後1年間の作付け予定の品目にも適用があるか確認し、次作に残留農薬基準違反の影響が出る可能性がある場合は使用していない。

6.2 農薬の準備・使用

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.2.1 必須 農薬使用の責任者が農薬の準備・使用を管理している 農薬を使用する作業者は、農薬使用の責任者の許可無く、農薬を準備・使用していない。
6.2.2 必須 適切な農薬を選んでいる(国内) 生産国において登録がある農薬のみ使用している。日本の場合、農林水産省に登録されている農薬のみ使用している。
6.2.3 必須 適切な農薬を選んでいる
(輸出)
輸出用農産物は、輸出先で使用禁止の農薬が定められている場合、それに従っていることを確認できる。例えば、EU向け輸出ではEC禁止リスト79/117/ECによって禁止している農薬を過去12ヶ月以内に使用していない。
6.2.4 重要 農薬散布機の使用前点検をしている ① ノズル、ホース、接合部のチェック等を行い、試運転を行うことで正確に散布できることを確認している。
② 農薬散布器具が充分に洗浄されていることを確認している。
6.2.5 重要 適切な場所で準備している ① 農産物や環境に危害の無い場所で農薬を調合している。
② こぼれた時の対応として、ほうき・ちりとり・ゴミ袋等を用意している。
6.2.6 必須 使用回数・総使用回数及び使用時期を遵守している ① 使用回数・総使用回数及び使用時期(収穫前日数等)は、ラベルの指示に従っていることが記録から分かる。
② 連続して収穫する作物は、誤って収穫してしまうことを防ぐ工夫をしている。
6.2.7 必須 ラベルの表示内容を確認している ① 使用方法(散布・灌注等)、適用作物、適用病害虫、希釈倍数、使用量について、ラベルの指示に従っている。
② 使用する農薬の最終有効年月を確認している。
6.2.8 必須 農薬を正確に計量・調製している ① 農薬を正確に計量できる器具を使用している。
② 平らな場所で水を準備し、正確に希釈している。
③ 計量カップ等は使用後、3回以上すすぎ、すすいだ水は散布機のタンクに希釈用の水の一部として戻している。
④ 散布面積から必要な散布液量を計算し、散布液が残らないよう調整している。
  (管理点6.3.1参照)
6.2.9 必須 立ち入り禁止期間を遵守している ① ラベルに散布後の立ち入り禁止が記載されている場合は、農薬散布後その期間中は圃場へ立ち入ってはいけないことが文書化(掲示を含む)されている。
② 散布後の圃場立ち入り禁止日数を守っていることが記録から分かる。
6.2.10 必須 その他の使用上の注意事項を遵守している 管理点6.2.2、6.2.6、6.2.7、6.2.9以外について、ラベルに記載された使用上 の注意がある場合は、その指示に従っている。

6.3 農薬の片付け・記録

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.3.1 重要 農薬散布後の残液を適切に処理している ① 調合した薬液は使い切るようにしている。(管理点6.2.8参照)
② 農薬散布後の残液の処理は、地方公共団体の指導に従っている。
地方公共団体の指導がない場合には、規定の散布量を超えない範囲で散布むらの調整に使用している。さらに残液がある場合は、自分の管理する場所で、農産物や水源に危害がなく、作物を植えることのない場所を選び、土にしみ込ませるようにしている。
6.3.2 重要 散布設備を洗浄している ① 散布設備に農薬が残らないような洗浄手順を決めた上で、散布後は速やかに散布機、ホース、ノズル、接合部及びタンクを洗浄している。
② 散布設備を洗浄する場所を特定している。
③ 薬剤の付着した状態で、タンク等を他の目的に使用していない。
 
6.3.3 重要 散布設備の洗浄水を適切に処理している 散布設備を洗浄した廃水の処理は、地方公共団体の指導に従っている。
地方公共団体の指導がない場合には、規定の散布量を超えない範囲で、散布むらへの調整、灌水、または自分の管理する場所で、農産物や水源に危害がなく作物を植えることのない場所へしみ込ませるようにしている。
6.3.4 必須 農薬使用を記録している
(その1)
農薬使用について、下記の項目を記録している。④⑥は使用農薬の一覧表からの引用が分かるようになっているのでもよい。(管理点6.1.4参照)

① 対象作物または品種(農薬登録における適用作物名)
② 使用場所(圃場の名称または圃場番号)
③ 使用日
④ 農薬の商品名及び有効成分名
⑤ 希釈倍数と使用量
⑥ 使用時期(収穫前日数等)
6.3.5 重要 農薬使用を記録している
(その2)
農薬使用について、下記の項目を記録している。②③は使用農薬の一覧表、④は組織表からの引用が分かるようになっているのでもよい。
(管理点1.2.1、6.1.4参照)

① 作業者名
② 使用目的(適用病害虫・雑草名)
③ 使用方法(散布機等の機械の特定を含む)
④ 農薬使用の責任者名

6.4 農薬の保管

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.4.1 必須 農薬保管の責任者がいる ① 農薬保管の責任者が特定されている。(管理点1.2.1参照)
② 農薬保管の責任者が農薬保管庫の鍵を管理し、誤使用や盗難を防いでいる。
6.4.2 必須 農薬の保管条件は適切である
(その1)
① 農薬保管庫は強固であり施錠されている。
② 農薬は、購入時に入っていた容器のままで保管されている。
容器が壊れてしまった場合、新しく入れ替えた容器には元の容器のラベル表示が書き写されている。
6.4.3 重要 農薬の保管条件は適切である
(その2)
① 開封した農薬は、蓋や開け口がきちんと閉められており、こぼれない様になっている。
② 農薬同士がこぼれた際に混ざらないように、液状のものは粉剤・粒剤・水和剤の上に置かない、もしくはトレー等を利用している。
③ 作物に使用するもの、作物以外に使用するもの(除草剤や圃場外に限って使用が許可されているもの)を分けて保管し、誤用を回避している。
④ 農薬流出に対処するため、内容量にあったトレーや囲いを用意している。
流出した農薬を清掃するための専用の砂・ほうき・ちりとり・ごみ袋等が用意されている。
⑤ ラベルで要求されている温度条件が保たれている。
⑥ その他ラベルに記載された保管上の注意がある場合は、その指示に従っている。
⑦ 立ち入り可能な保管庫の場合、通気性がある。
⑧ ラベルが読める程度の明るさがある。
⑨ 農薬及び農薬準備・散布に必要な器具以外のものは置かれていない。
⑩ 危険性を警告する表示がされている。
参考帳票6.4.2~6.4.3
6.4.4 努力 農薬の保管条件は適切である
(その3)
農薬の保管庫の棚が農薬を吸収・吸着しないような対策が採られている。
6.4.5 必須 農薬の最終有効年月を管理している 最終有効年月を過ぎた農薬を分別して保管している。
廃棄する場合は、管理点12.1に従っている。
6.4.6 重要 農薬の在庫を管理している ① 農薬の在庫は台帳で確認できる。
② 台帳には、入庫ごと・出庫ごとの記録がつけられており、記録から実在庫が確認できる。
③ 開封・未開封が識別管理されている。

6.5 農薬のドリフト(飛来・飛散)

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.5.1 必須 ドリフトの危険性を認識している 自分の圃場を含む周辺圃場で栽培されている作物を把握し、そこからの農薬のドリフトの危険性について認識している。(管理点1.2.2の③参照)
6.5.2 重要 ドリフト対策を講じている 周辺の生産者とコミュニケーションをとることによって、周辺地からのドリフト対策を行っている。コミュニケーションの内容としては、農薬散布や収穫時期の連絡、散布方法を話し合う等がある。コミュニケーションで改善しないドリフトについては、緩衝地帯をもうける・防風ネットを設ける等他の対策を行っている。対策については管理点11.1も参照している。

6.6 残留農薬検査 ※団体審査・認証での残留農薬検査は『JGAP 団体事務局用 管理点と適合基準』も参照のこと

番号 レベル 管理点 適合基準 参考帳票 KSAS適用
6.6.1 必須 残留農薬の基準を把握している ① 農産物が取引される国の最新の残留農薬基準の情報を入手している、または入手方法を知っている。
② 農産物が取引される国の残留農薬基準への適合を考慮している。
例えば、必要に応じて農薬を変える、残留農薬検査の結果を活用する、等がある。
6.6.2 必須 残留農薬検査の計画を立てている ① 残留農薬検査の計画が文書化されている。
② 残留農薬検査の計画は農場内で使用した農薬のうち、もっとも残留の可能性が高いと思われる品目・農薬成分・収穫時期・場所からサンプルを選んでいる。
残留の可能性の判断基準としては、以下のものがある。
収穫から最も近い時期に散布した成分、使用回数の多い成分、作物に対して残留しやすいという知見のある成分。
6.6.3 必須 残留農薬検査を実施している
(使用農薬)
管理点6.6.2の計画に基づき、年1回以上残留農薬検査を行い、農薬の使用が適正であることを確認している。サンプリング方法を記録し、検査記録を保管している。
6.6.4 努力 残留農薬検査を実施している
(ドリフト)
周辺圃場からの農薬のドリフト(飛来・飛散)の可能性が高いと思われる農薬成分について、年1回以上残留農薬検査を行っている。
サンプリングは農薬のドリフトの可能性が高い場所及び時期を考慮している。
6.6.5 重要 信頼のおける検査機関に依頼している 残留農薬検査を行う検査機関は、下記のいずれかを満たしている。

① 食品衛生法に基づく登録機関、ISO17025認定機関
② 日本GAP協会が推奨する検査機関
③ 年1回以上、外部精度管理試験に参加しており、適切な精度管理を行っている機関

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